![](https://aeroporto-tokyo.com/blog2/wp-content/uploads/2021/06/2441419.jpg)
紆余曲折ありながらも、曹操は中華の、大勢力へと成長して行きました。
曹操の悪口を書き連ねた陳琳
![](https://aeroporto-tokyo.com/blog2/wp-content/uploads/2021/06/087774.jpg)
なお当時、中国の北部には、曹操をさらに上回る、超・巨大勢力の
袁紹(えんしょう)と言う武将が、いました。
彼は中国統一を目指し、大軍で南下して来ます。
あわや曹操も、大ピンチに追い込まれますが・・最大の決戦
『官渡(かんと)の戦い』で、参謀が知恵を絞りつくしたり、運が味方するなどして大逆転勝利! 曹操は、ついに中華1の勢力へと、おどり出ます。
さて、かつて袁紹には、陳琳(ちんりん)という詩人が、仕えていました。
彼は曹操との決戦の前、より多くの味方を、集めるため、
檄文(げきぶん)とよばれる手紙を、中国全土にバラまいたのですが・・
そこには、曹操の父親は、乞食だった・・などという内容にはじまり
曹操一族が、これまでいかに卑劣で、自分勝手で、人々を苦しめたかと・・
ようするに、悪口の限りが、書き綴ってあり、
だから曹操を、みんなで滅ぼそうといった、内容でした。
陳琳と曹操
袁紹が敗北すると、陳琳は身柄を、拘束されました。
そして、ある日、こう告げられました。
![曹操の部下](https://aeroporto-tokyo.com/blog2/wp-content/uploads/2021/05/1690583-150x150.jpg)
曹操様が、お主を連れてくるようにと、ご所望だ!
陳琳は、思いました。
![陳琳](https://aeroporto-tokyo.com/blog2/wp-content/uploads/2021/05/2495838-150x150.jpg)
ワシは処刑されるにちがいない。それも、どんな惨たらしい、刑罰か・・。
さて、彼と対面した曹操は、言いました。
![曹操](https://aeroporto-tokyo.com/blog2/wp-content/uploads/2021/05/曹操かおグラ-150x150.jpg)
お主の檄文を読んだ。ワシの事はともかく、父や祖父の事まで貶めるとは、ずいぶん、ひどいではないか!
![陳琳](https://aeroporto-tokyo.com/blog2/wp-content/uploads/2021/05/2495838-150x150.jpg)
もはや、何ひとつ、言い訳はありませぬ。
![曹操](https://aeroporto-tokyo.com/blog2/wp-content/uploads/2021/05/曹操かおグラ-150x150.jpg)
・・が、しかしだ。悪評を書きながら、文章としての配列は、すばらしい。それに、どことなく品格が、にじみ出ておる。それから、読み上げたときの音調も、人のココロを掴む、独特の響きがある。
![曹操](https://aeroporto-tokyo.com/blog2/wp-content/uploads/2021/05/曹操かおグラ-150x150.jpg)
陳琳!お主には人並み外れた、詩の才能がある!!これからは文学の世界で、詩を書き続けるが良い。・・以上だ!
陳琳は、あまりの予想外に、呆然としました。
![陳琳](https://aeroporto-tokyo.com/blog2/wp-content/uploads/2021/05/2495838-150x150.jpg)
曹操!常人とはモノの見かたが、根底から違う。いったい中華に、どんな世界を、作り上げようと言うのか・・ワシも、見届けたくなったぞ!
こののち、陳琳は時代を代表する、詩人の1人となり、その作風は、
後世まで、多くの文人に、影響を与える事となりました。
曹操の価値観と、才能を愛する性格が、もたらした出来事と言えます。
そして三国志の時代へ
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さて、この時点で曹操は、中国の真ん中と、北側を手中に収め、
残るは、南だけになりました。
中国統一の総仕上げと、曹操は軍を進めますが、
南の最大勢力、孫権は強力な水軍を、持っており
『赤壁の戦い』と呼ばれる水上の決戦で、まさかの撃退をされてしまいます。
また・・その後、どさくさに紛れて劉備が、南西の山奥を占拠して、国を作り、
かくして曹操の治める魏(ぎ)の国、孫権の治める呉(ご)の国、劉備の治める蜀(しょく)の国の3つで、
ここからが本当の意味での、三国志の始まりとなります。
曹操VS劉備/孫権
![](https://aeroporto-tokyo.com/blog2/wp-content/uploads/2021/05/1602102.jpg)
とはいえ、国力的には、中国の中心地と北を、まるまる支配下に置いている
曹操が、頭1つぬけて、圧倒的でしたので、
はじめ劉備と孫権は、互いに手を結んで、対抗しました。
なかでも、劉備の名将・関羽の活躍と、戦闘力はすさまじく
曹操軍は防衛線をやぶられ、あわや本拠地へ、攻め込まれそうな状況まで
追い込まれてしまいます。
曹操サイドからすれば、いぜん関羽を捕虜にしたとき、
「あのとき、見逃していなければ!」と、思ってしまいそうですが・・。
しかし、ここで曹操の軍師が、並外れた外交力を発揮。
土壇場で、孫権を曹操の味方に、鞍替えさせる作戦に、成功しました。
これにより関羽は、とつじょ背後を、孫権軍に襲われ
討ち取られてしまいました。孫権軍は関羽の亡骸を、曹操へ送りました。
英雄・曹操と名将・関羽
曹操は、関羽の首を前にして、言いました。
![曹操](https://aeroporto-tokyo.com/blog2/wp-content/uploads/2021/05/曹操かおグラ-150x150.jpg)
亡き関羽将軍には官位を授け、最大限に手厚い葬儀で、弔うのだ。
しかし、それを聞いた家臣は、言いました。
![曹操の家臣](https://aeroporto-tokyo.com/blog2/wp-content/uploads/2021/05/158005-150x150.jpg)
お待ち下され。敵の武将を、そのように弔うなど、聞いたコトがありませぬ。
それも、われらを、さんざん苦しめた者ですぞ!
しかし曹操は、答えました。
![曹操](https://aeroporto-tokyo.com/blog2/wp-content/uploads/2021/05/曹操かおグラ-150x150.jpg)
よいか、この曹操に仕える者は、曹操だけを見てはならぬ。
敵・味方を越え、この中華のすべてを、見据える者でなければならぬ!
![曹操](https://aeroporto-tokyo.com/blog2/wp-content/uploads/2021/05/曹操かおグラ-150x150.jpg)
すなわち、この関羽は、100年先、1000年先にも
伝説となるにふさわしい名将であり、丁重に弔い、語り継がれなければならぬ!
かくして、関羽は劉備の1武将というだけでなく、
中国全土に語り継がれ、のちの世には神様となって、人々の心に宿りました。
神となった名将
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さて、あなたは、これまで横浜の中華街に、行った事はあるでしょうか。
そこには関羽を奉る、関帝廟(かんていびょう)が、存在しています。
ほかにも神戸、長崎などの各所や・・日本以外でも
台湾・マレーシア・ベトナム・韓国・そして、もちろん
中国本土の各地にも、関帝廟は存在しています。
かつて関羽は劉備と、死ぬときは一緒と、誓いをたてました。
ところが、その願いは叶わず・・それどころか最後は、最大の敵であった、
曹操のもとで、弔われました。
ですが、この経緯があったからこそ、
後世まで語り継がれる、伝説になったという・・
なんとも数奇な運命の、2人です。
もし、このとき曹操が
![曹操](https://aeroporto-tokyo.com/blog2/wp-content/uploads/2021/05/曹操かおグラ-150x150.jpg)
敵将の首など、捨て置け!われらが苦戦した話なぞ、残すでないぞ!!
と、命じていたならば・・。
今日、これほどまで残り、奉られてはいなかった、可能性があります。
三国志というのは、国どうしの、覇権争いのモノガタリですが、
この曹操と関羽の関係は、その中にあっても特別。
国境の枠さえ超えた、英雄どうしの、つながりを感じます。
英雄?悪人?詩人?
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・・さて最後に。曹操は武将であり、政治家であり、
そして時代を代表する、詩人でもありました。
彼の遺した詩に、こんな文ではじまる、1つがあります。
酒に対しては 当(まさ)に歌うべし 人生は幾何(いくばく)ぞ
ひとの一生は、朝露のように、はかない。
過去をふりかえれば、人生はツラい事ばかりだ。
でも、せめて今は酒を飲み、歌をうたって忘れよう
・・といった内容に続き、
なんとも、繊細な内容です。
よく三国志演技の曹操のイメージは、他人がどうなろうと
手段をえらばない、唯我独尊。
そして、大胆な策略家という性格で、描かれます。
しかし、実際にのこされた詩は、繊細でうつくしい作品が多く、
天才、大悪人、英雄、詩人・・いったい、どれが本当の顔なのか?
考えるほどにフシギで、ワクワクし、心を惹かれてしまう人物
それが曹操です。
あなたも、ぜひ機会がありましたら、三国志のストーリーと合わせ、
こうした1人1人の、ニンゲンの探求も、楽しんでみてください。
曹操が主役のマンガ『蒼天航路』
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なお、すこし前の作品ですが・・曹操を主人公とした『蒼天航路(そうてんこうろ)』
というマンガが、ありまして、
そのストーリーは濃く、熱く、三国志を、あらたな視点で描いています。
一部の曹操ファンの間では、バイブルとも言われる名作です。
もし、ご興味がありましたら、いちど是非
読んでみて下さい。
きっと、あなたが今まで読んだ、どのマンガとも、違うと思います。
それでは今回、曹操のモノガタリにつきましては、
ここまでにしたいと、思います。
ご覧いただき、ありがとうございました。