曹操モノガタリ②~黄巾党との決着、そして三國志の時代へ~

漢帝国の乱れから、とんでもない勢いで広がった、黄巾の乱。
しかし、曹操も含めた、全土の名だたる武将の討伐や
黄巾党のリーダーの病死もあり、徐々に鎮圧されて行きました。

前回≫若かりし時代の曹操

猛威をふるう黄巾の残党

ところが、黄巾賊は、あまりに人数が多すぎました。
いかに漢帝国とはいえ、すべてを討伐するコトは、できません。

逆に、数々の激戦を生き延びた、残党が猛威をふるい、
漢の都市が、攻め落とされるコトさえ、起こっていました。


このとき曹操は、そこそこ大きな勢力だったので、黄巾の残党を討伐するよう、
皇帝から、指令が届きました。
しかし・・いざ出陣してみて、驚愕!

黄巾軍は、曹操軍をかるく飲み込んでしまうほど、
とてつもない大軍でした。そのうえ、強力な戦闘力を誇っています。

守勢に回る曹操軍

曹操の武将
曹操の武将

・・曹操様、これは我らに、勝ち目はあるのでしょうか?

曹操
曹操

いや、まったく無いな!城にこもるぞ!!

鎮圧をしに来た側が、逆に守る立場と、なってしまいました。

曹操の武将
曹操の武将

それで・・これから、どうなさいます?

曹操
曹操

攻撃を耐えつつ、この地域に間者を放て!そして黄巾党の間に、こういうウワサを広めるのだ。

その内容は、こうでした。

曹操の城には、食料が山ほど、備蓄されている。
攻めを落とせば、たらふく飯に、ありつける。

曹操の武将
曹操の武将

しょ、正気ですか!そんなウワサを広めれば、さらに黄巾賊が、集まって来ますぞ!

曹操
曹操

いや、それで良い。国を作るとは、どういうコトか・・お主は、それを目の当たりにするだろう。

おどろくべき提案

さて、家臣の心配通り・・食べ物を求め、さらに黄巾党は集まり、
城壁の上から見ると、大地は黄色で、埋め尽くされる程でした。

そうした状況になると、曹操は敵に向かって、呼びかけました。

曹操
曹操

黄巾の者たちよ、提案がある!この曹操の民となれ!
ワシはこれから、新しき国を作る!!

曹操
曹操

約束しよう。土地と食料を、お前たちに与える。そこで大地を耕し、作物を育てよ。ただし戦いの時は、この曹操の兵士となれ!

それを聞いた黄巾軍たちは、ざわめきました。

黄巾党1
黄巾党1

とつぜん何だ?でも・・そういえばオレたちは、何で戦っているんだ?

黄巾党2
黄巾党2

そりゃあ、生きるためだ。食べものを、得るために決まっている。

黄巾党3
黄巾党3

それじゃあ、これはいい話なのか?土地をくれるって、言っているぞ。

曹操VS黄巾党の結末

黄巾党は、これまで数々の討伐軍と、戦ってきました。
しかし当然、こんなことを呼びかける武将は、1人もいませんでした。

黄巾党1
黄巾党1

そういえば、あの曹操は洛陽で、皇帝の側仕えにも、決まりを曲げなかったそうだぜ!

黄巾党2
黄巾党2

そうか、それなら、約束も守ってくれそうだな。

黄巾党3
黄巾党3

よし・・決めたぞ。おれは曹操の提案に、乗る!

黄巾党1
黄巾党1

な・・ならオレも、そうするぜ!

かくして、この地方の黄巾賊VS曹操軍の決着は、敗北でも勝利でもなく
吸収して1つになるという、前代未聞の結果と、なりました。

しかし、とつぜん、とんでもない人数が加わり・・しかも、
もともと盗賊みたいな、彼らを統率するのは、

通常、困難きわまりないコトです。

しかし、曹操には優秀な人材が、従っていたので、
制度や決まりをつくり、みごとに、組み込んでしまいました。

彼らは平常時には畑を耕し、大量の食糧を生産。
そして、戦いのときには強力な、戦力となりました。

中華に覇をとなえ始める曹操

曹操軍は、急速に勢いを増し、都の洛陽にも進軍。
権力争いに明け暮れていた勢力を、撃破して追い出し
ついには『曹操が皇帝を守る』という、立場も得るコトに、なりました。

日本の戦国時代に例えるならば、織田信長が京都に進軍し、
足利幕府を守る立場になった、構図とも似ています。
大義名分も得た、この時期の曹操は、指折りの大勢力へと、成長して行きました。

曹操
曹操

よし、この勢いで中国を、統一するぞ!

傾国の美女のワナ

当時でいう中国の中心地は、曹操が支配。そこで次に、すこし南に勢力を持っていた
張繡(ちょうしゅう)という武将を、攻めました。
すると、曹操軍の方が圧倒的に強く、あっさり降伏しました。

さて、この張繡の親戚には、鄒氏(すうし)という、美女がいたのですが・・
彼女と会った曹操は、惚れ込んで言いました。

曹操
曹操

聞きしにまさる美人だ。よし、鄒氏を愛人にするぞ!

しかし、それを聞いた張繡は、曹操に願いました。

張繡
張繡

彼女は、夫を亡くしたばかりの、未亡人でございます。
どうか今は・・そのようなことは、せずにあげて、貰えませぬか?

曹操
曹操

却下だ。勝者はワシである、立場をわきまえよ!

このとき、うなぎ登りの勢いだった曹操は、
ちょっと調子に乗って、しまっていました。

張繡
張繡

曹操め、この傲慢ぶりと侮辱は、許せぬ。反旗を翻してくれる!

怒った張繡は、軍勢を率い、とつじょ曹操へ奇襲攻撃を、仕掛けてきました。

思わぬ窮地と大打撃

このとき曹操は、鄒氏とイチャイチャしており、完全に油断していました。

曹操
曹操

し、しまった、敵兵に囲まれている!

しかし急遽、駆けつけた家臣が、身を挺して曹操を守護。
命からがら、なんとか逃げ出すことが、出来ましたが・・。

多くの兵に加え、優秀な後継ぎ候補だった、長男
一騎当千といわれた猛将の1人も、ここで戦死してしまいました。


さらに・・拠点にもどると“愛人にうつつを抜かして、息子を死なせた”と知った、
曹操の正妻は、大激怒。離婚されてしまいました。
この一連の出来事には、さすがの曹操も、大いに凹みました。

曹操
曹操

やらかしてしまった・・。

このように、天才なのか、おろかなのか・・?
一言では括れないのも、曹操の大きな特徴です。

曹操と関羽(かんう)

いっぽう彼は、人の才能というモノに、目がない人物でした。
のちに三国志の主役でもある、劉備(りゅうび)と戦い、勝利するのですが、
そのとき、関羽という武将を、捕虜にしました。

彼は、戦いの強さだけでなく、人徳もカリスマ性も、ずばぬけている名将です。
曹操は、言いました。

曹操
曹操

劉備はどこかへ逃げ去ったぞ。どうだ、これからはワシに仕えぬか?

しかし、関羽は筋を通す性格で、しかも劉備とは、
例えどんなコトがあっても、ともに戦い、死ぬときは一緒と誓った、間柄でした。

関羽
関羽

それがし、劉備様以外には決して、仕えませぬ!はやくお斬りくだされ!!

曹操
曹操

忠義を貫くとは、ますます気に入った!だが、劉備はどこかで生きておる。
ここで、お主が死んでしまっては・・命ある限り仕えると言った、劉備との誓いを、お主から破るコトに、なるのではないか?

関羽
関羽

なるほど、それも一理ありますな。では劉備様の行方が分かり次第、それがしは出て行きます。それまでで、よろしければ、お仕え致そう!

曹操
曹操

わかった、約束いたそう!

こうして、天下の名将・関羽曹操の武将として、その後の戦いで
敵をさんざんに撃破するなど、大活躍。
しかし・・しばらくすると、劉備は生きていることが分かり、居場所も判明しました。

軍師の警告と約束

関羽
関羽

曹操様、では約束通り・・それがしは、劉備様の元へ戻りまする!

しかし、それを聞いた曹操の軍師は、忠告しました。

軍師
軍師

関羽を逃がすなど、ありえませぬ!必ずや、我らの仇となりますぞ。
ここで、手討ちになされませ!!

曹操
曹操

いや、あやつの忠義は見事だ。関羽を追ってはならぬ!

曹操は約束は約束だと、それを守り抜きました。
なお、軍師の警告どおり、やがて関羽は、曹操強敵となってしまうのですが・・

しかし、こののち両者は、敵・味方を超えたところで、
さらに数奇な運命を、辿るコトとなりました。

いったい、なにがあったのでしょうか?ちょっと、長くなって参りましたので・・
さらなるエピソードと合わせ、また次回に、お伝えして行きたいと思います。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。

≫関羽や陳琳との数奇な運命

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