卑弥呼【中編】~魏の国をたよるヤマタイ国~


強大な力をほこる餓狼のクニ、狗奴国(くなこく)。
その戦闘力には、ヤマタイ国のチカラだけでは、打ち勝つことはできず。

女王ヒミコは、中国の巨大国家、
(ぎ)のチカラを、借りることにしました。

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魏の国に到着した、ナシメとトシゴリ

西暦238年・・
ヤマタイ国の使者、難升米(ナシメ)都市牛利(トシゴリ)は、
命がけで海をわたり、はるか遠方の魏へ、たどりつきました。

皇帝への謁見を許可され、都の洛陽にたどりつきましたが・・
そのあまりの繁栄ぶり、そして見たこともないモノばかりの光景に
2人は、驚愕してばかり

ナシメ
ナシメ

おい、町のニンゲンは俺たちみたいに、裸足じゃねえ。靴をはいているぞ!

トシゴリ
トシゴリ

それに・・みんな袖がついた、立派な服を着ているな。

ちなみに、ヤマタイ国の人間も、服は着ていましたが、
上流階級以外は、布に穴をあけ、そこから頭を出しただけの、カンタンなものでした。

また商人も役人も、みんなヤマタイ国にはない、文字を使っています。

ナシメ
ナシメ

魏の皇帝さまは、本当に、会ってくれるのか?
正直、こわくなってきた・・。

トシゴリ
トシゴリ

そ、それどころかよ!けがらわしい野蛮人と思われて、処刑されちまったり・・しないだろうな!!

皇帝との謁見

三国志の英雄・曹操(そうそう)が作り上げた、魏の国。

※ヤマタイ国の使者と会った皇帝は、曹操の孫の曹叡(そうえい)か、
そのあとを継いだ、曹芳(そうほう)のどちらかと、言われています。
ちょうど曹叡が亡くなり、皇帝が交代するタイミングの時期で、説が分かれています。

あまりに巨大で、華やかな皇帝の宮殿に案内されると、
さらに恐れいるばかりの、ヤマタイの使者たち。
しかし、その結果はというと・・

盛大に、歓迎されました!

曹芳
曹芳

遠いところ、大変な旅であったであろう。しかし、そうまでしても・・そなた達は来た!そのコトだけでも、ヒミコ殿がわが国と、手を携えたい真心が、よくわかるというものだ。

トシゴリ
トシゴリ

ははっ!身に余る、光栄でございます!

曹芳
曹芳

うむ、今よりヒミコどのは、わが魏と共に歩む国、
そして倭(日本)を治める、正当なる王。親魏倭王じゃ。
その証となる金印を、お渡ししよう。

ナシメ
ナシメ

皇帝陛下、なんと有り難きおコトバ!ヒミコ様・・いえ、われら全てのヤマタイの民が、よろこびます!

ここに、ヒミコの決断は、最高の形で実を結びました。

曹芳
曹芳

それから、のちほど我らから、返礼の贈りモノも、
ヤマタイ国に送り届けさせよう。楽しみにしているとよい!

魏からもらったタカラモノ

さて、その後・・魏から返礼として届けられた、贈りモノ。
そのあまりの豪華絢爛さに、邪馬台国の指導者たちは、度肝をぬかれました。

真珠、金塊、龍の刺繍がほどこしてある錦、刀、そして100枚にもなる
磨かれた銅の鏡・・などなど。

トネリ
トネリ

なんという、うつくしさか、この世のモノとは思えぬ!

長老
長老

まさか、ここまでのタカラモノをさずかるとは!

ヒミコ
ヒミコ

魏の皇帝は、本心からわれらを、親しく思われている。なんと嬉しきことか。

ひるまない狗奴国

さて、ヤマタイ国が、はるばる魏の国をたずねた、いちばんの理由・・
それは、狗奴国に勝利するためです。

こんかいの出来事から、戦いは圧倒的、
有利に傾くことになるのでしょうか?

ヤマタイ軍
ヤマタイ軍

われらには大帝国の魏が、後ろ盾となった!
これ以上、手をだせば、どうなるか分かるであろう?

狗奴王
狗奴王

ふっ!・・われらが、そんなコケ脅しに、怯むわけがなかろう。

ヤマタイ軍
ヤマタイ軍

な・・なんだと?

狗奴王
狗奴王

しょせんヤマタイは、トラの威を借るキツネに過ぎぬ。だが我らは、そうではない!ものども・・かかれえい!!

ヤマタイ軍
ヤマタイ軍

くっ、こんなハズでは。た、退却、退却ー!

残念ながら・・魏のうしろだてを得たという、宣言だけでは
狗奴国には、勝てませんでした。

トネリ
トネリ

ヒミコさま。狗奴国は、魏の名を出しても、ひるみませぬ。
いったい、どうすれば・・。

ヒミコ
ヒミコ

どうやら狗奴王に、実体のないモノは、通用せぬようです。
だれの目にも、ヤマタイが魏と手を携えている、証となるものが必要です。

ヒミコ
ヒミコ

ふたたび魏へ使者を。皇帝は必ずや、われらの悩みに、
応えてくれることでありましょう!

ひるがえる魏の軍旗

いぜん洛陽へと行った、ナシメは、ふたたび魏の国へ、助けを求めに行きました。
するとヒミコのコトバ通り、皇帝は、対策を授けてくれました。

曹芳
曹芳

うむ!狗奴国とは、なかなか手強き相手のようじゃ!
よろしい、それではコレを、持って行かれるがよい。

魏の皇帝が、さずけてくれたモノ・・それは
あざやかな黄色にかがやく、軍旗でした。

なぜ黄色なのか?これは目立つというだけでなく
魏の国が、シンボルカラーとしていた、色でした。

さっそくナシメは、この旗を持ち帰り、
そしてふたたび、狗奴国と戦いになったときには、
大勢の目に見える、高台に掲げました。

ヤマタイ軍
ヤマタイ軍

狗奴国のモノども、この旗をみるがよい!

狗奴王
狗奴王

なるほど!ヤマタイが、魏とつながったというのも、

どうやら、ハッタリではないらしい・・。

それでもひるまない狗奴王

狗奴王
狗奴王

しかし魏の兵は、どこにもおらぬな!そもそも、こんな遠くまで、軍を送るなど
出来るはずがないのだ。

ヤマタイ軍
ヤマタイ軍

なっ・・なんだって!やつら、ひるまないぞ!

とても残念ながら・・狗奴王は勇猛なだけでなく、
大陸の事情にも、精通していました。

トネリ
トネリ

ヒミコさま。いぜん狗奴国を、打ち負かすことは出来ませぬ!

いかが致しましょう!

ヒミコ
ヒミコ

トネリよ、魏には、数々の強敵をやぶってきた、戦術や外交術があるはずです。
われらは、それを取り入れなければなりません。ふたたび使者を!

こうして、またしても魏の皇帝に、相談する方針となりました。しかし・・

ナシメ
ナシメ

ヒミコ様のご意志だから、もちろん従うけどよ。
さすがにオレたち、魏にたよりすぎじゃねえか?

トシゴリ
トシゴリ

うーむ、皇帝陛下から、愛想をつかされないと良いが・・。

再三、助けをもとめるヤマタイ国・・
はたして魏の国は、変わらず、助けてくれるのでしょうか。
そして、強敵・狗奴国を打ち破ることは、出来るのでしょうか?

ちょっと長くなってまいりましたので、続きは
最後の後編にて、お話したいと思います。

ここまでお読み頂き、ありがとうございました。

≫【後編】~すべてを国へ捧げた巫女~

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