【書評】“富士そば”で演歌が流れている理由。

この記事では“富士そば”の会長、丹道夫さんの著書について、

解説させて頂いています。

「富士そば」は、なぜアルバイトにボーナスを出すのか

あなた~恋~~焦がれぇぇ~~!

花ぁ~咲くとも~花ぁ~散るともぉ~♪

クリスマスでも、夏の暑い日でも。駅前でも、オフィス街でも。

“富士そば”はいつ、どの店舗に行っても、必ず演歌が、ながれています。

それは、いったい何故なのでしょうか。その理由が、心にしみて分かりました

“そば”という薄利多売の業種にも関わらず、いまも繁盛し続けている理由。

そして本のタイトルのように、なぜアルバイトにボーナスを出すのか?

とてつもない苦労、たくさんの挑戦と挫折を経て、たどりついた商売の境地。

言われれば“あ、そうか!”とは思うものの、

気づかない場所に存在していた、秘訣が多数ありました。

丹道夫・会長の人生

・お店の成功物語
・皆が気持ちよく、成長する組織の秘訣
・人生の進むべき道の見つけ方

これらが、深く学べる一冊になっています。

なお、僕自身も“富士そば”で、よく食べる1人なのですが、

以前も、このような新メニューを見つけ

冷やしバクテーそば

「え!この組み合わせは?」と思い、注文してみましたが・・

建前でも何でもなく、これは、ばつぐんの相性。一気に箸が、進んでしまいました。

本書では、新しいアイディアは正攻法であれ、ちょっと奇抜に思えるものであれ

・・アルバイトであれ、役員であれ、

新しいチャレンジをする空気を、作っているという、エピソードがあり

「ああ、そういう事で生まれたのか!」と、あらためて、納得するものがありました。
そして、ただの蕎麦屋チェーン店と思いきや

「そんな視点で!」

「なんて、考え抜かれているんだ!」と、目から鱗の、連続でした。

見えない部分にこそ

【居心地よい空間のため】
安っぽさを払拭するため、お客を引き寄せるため、値は張りましたが、床を大理石にしました。おきゃくは「床が大理石だ」なんて、気づかないでしょう。でも良い物は、見る人が気持ちよくなるのです。(本書より抜粋)

「言われてみれば、たしかに大理石!!」です。

何となく居心地いいと、感じてはいましたが・・

この深層心理の部分に、ここまでの投資は、そうそう出来るものではないですね。

ホウレンソウって何?

合言葉は「細かいことは良いから、うまくやってくれ」富士そばには、創業当時から、細かなマニュアルはありません。どうでもいい規則や、習慣を押し付けられるほど、人はストレスが溜まり、長続きしなくなります。(本書より抜粋)

会社の、基本で教わる“報・連・相”。会長は、ずっと知らなかったそうです。

しかし、人それぞれに合った“自発的なやり方”を活かしたほうが、

心も込もり、良いサービスになると語ります。

たしかに富士そばの店員さんは、マニュアルを感じさせない自然体。

チェーン店ではありますが、それぞれが個人商店のような雰囲気を、感じる理由が分かりました。

広告は出さないスタイル

駅には、半歩でも近い方が良いです。さっと、手軽に食事を済ませたい方が、ターゲットだからです。より駅の近くに、他のそば屋があったら、出店は避けます。それが、どんなに小さく、味が大したことない店でもです。(本書より抜粋)

創業時から「そば自体に、強く、人を惹きつける力はない。」と考えてきたそうです。

では、どうしたら、立ち寄ってもらえるのか?

広告費は一切かけず、様々な独自視点をもとに、新規店舗を増やす戦略が語られています。

演歌こそ人のココロに染みる

演歌の魅力は「悲しみ」にあります。誰しも実生活は喜びよりも、とてつもない苦労が、多くあります。演歌は、そんな悲しみに、寄り添ってくれるから、共感したり「負けないぞ」という気持ちになるのです。(本書より抜粋)

そんなことしたら「若者に嫌がられる」など、反対意見もあったそうです。

しかし結果は・・大勢に好評。

僕もとくべつ、演歌が好きなわけでは、ないのですが。

店に入ると、心が落ち着きます。いまや完全に、富士そばの個性へと、昇華しています。

演歌は、特にこだわっている1つで、本書ではそれらが熱く語られています。

もともと、丹さんは「そば屋を開きたい!」という、志があったわけでは、なかったそうです。

若かりし頃、行くあてもなく1人寂しく、上野の町をフラフラしているとき・・

たまたま目にした、一軒の“そば屋の光”

それが、運命の分かれ道となり、後の“富士そば”誕生に繋がります。

この一冊は、丹さんの人生の物語としても、とても心に響きます。

ぜひインターネットで「丹道夫」と入力し、画像検索をしてみて下さい。

どの写真であれ、その笑顔に、お人柄が、にじみ出ているのが感じられます。

もともとハウツー本ではないですが、これから起業を目指している人、

またこれから夢を見つけたい方、何かにチャレンジする方にとっても。

大切な事が、たくさん詰まった一冊です。

心構えや、人との接し方。組織のマネジメントにも、深い学びがあります。

もし興味がわきましたら、ぜひ読んでみて下さい。

ここまで、お読み頂き、ありがとうございました。